所員の活動  (2017)


研究所所員の小早川明良さんがご著書『被差別部落像の構築──作為の陥穽』(にんげん出版 2017年)を刊行されました。

 

本書は、近代における被差別部落(民)の再構築過程を分析し、その中で「部落産業」など被差別部落(民)像をめぐるマスターナラティブ(通説)における現実との齟齬を暴きつつ、部落問題研究の視座転換を主張する野心的な著作です。その問題設定・論理・実証において本格的な部落問題研究の書となっています。ご一読をお薦めします。

 



研究所所員の朴 沙羅さんがご著書『外国人をつくりだす──戦後日本における「密航」と入国管理制度の運用』(ナカニシヤ出版 2017年)を刊行されました。本書は、敗戦直後の日本国家の解体と形成のなかで、「元日本人」の朝鮮人がどのように「外国人」とされていったのか、それとは別のところで、とくに「密航」した朝鮮人たちが、どのように「在日朝鮮人」になっていったのか。それを占領軍・日本国・当事者の視点を交差させ、また管理制度、官吏・官憲、当事者の交渉(の語り)を交差させて論じています。それは、戦後国家の管理体制の由来を問う意味でも、そこで生き抜いた朝鮮人の経験を問う意味でも、国家・国籍・民族のカテゴリーを問い直す意味でも、重要な問題提起になっていると思います。ご一読をお薦めします。

 



■ 研究所員の渡辺拓也さんが、ご著書『飯場へ──暮らしと仕事を記録する』(洛北出版、2017年)を刊行されました。ご著書は、飯場における日雇労働者の生活と仕事の世界を内部から詳細に描き、下層労働者の労働・規範・意味・関係等を分析した、日本の労働研究の新展開に確実に寄与する書だと思います。ご一読をお薦めします。

 



■ 研究所所員の樋口直人さんが第4章を担当された『徹底検証──日本の右傾化』(塚田穂高編 筑摩書房 2017年)が刊行されました。現代日本のホットトピックを主題に、政治の危うい状況を憂え、批判的に切り込む。ご本は、そのような簡明で的確な日本政治理解の導き書になっていると思います。ご本が活発な議論を喚起するテキストとなることを祈念します。ご一読をお薦めします。



■ 研究所員の金菱 清さんが編集された『悲愛-あの日のあなたへ手紙をつづる』(新曜社 2017年)が刊行されました。「喪われたものの重みを被災者自ら言葉にして手紙につづる時に、それは「手紙をこえる手紙」になっていることに気づかされます。内容は私的なものですが、言葉を通して私たちはその奥にある世界へと誘われ、その深みを感じ取ることができます」(金菱さんの紹介文より)。沈黙と慟哭。死んでなお溢れる命。ご一読をお薦めします。

 

 



■研究所所員の木下直子さんがご著書を刊行されました。

 

「慰安婦」問題の言説空間-日本人「慰安婦」の不可視化と現前』(勉誠出版 2017年)

 

「慰安婦」問題をめぐる言説構築の史的過程を追い、ナショナリズム・コロニアリズム・ジェンダーの〈関係〉を捉え、そこに日本人「慰安婦」を位置づけてその不可視化の意味を問い、もって「慰安婦」問題研究に新地平を拓いた学術の書です。ご一読をお薦めします。

 

 



■研究所所員の髙谷 幸さんがご著書を刊行されました。

 

追放と抵抗のポリティクス-戦後日本の境界と非正規移民』(ナカニシヤ出版 2017年)

 

本書は、戦後日本を舞台に国家による移民の分割と非正規移民の抵抗のポリティクスを分析し、それを現代の非正規移民が生きる状況に繋げて、私たちを含む国家を告発した書です。非正規(の創出)は国家(の意思)の函数であり、非正規(移民)の抵抗の函数である。本書は、その創出と抵抗の顛末を戦後日本という壮大な舞台で追跡し、展開しています。ご一読をお薦めします。

 



■研究所所員の笠井賢紀さんが工藤保則さん、大山小夜さんとともに以下の著書を編集・刊行されました。

 

基礎ゼミ 社会学』(世界思想社 2017年)

 

現代社会の諸問題と社会学的分析についてコンパクトに読みやすく解説された社会学書です。ご一読をお薦めします。 



■研究所員の白波瀬達也さんが次の著書を刊行されました。

 

白波瀬達也著『貧困と地域-あいりん地区から見る高齢化と孤立死』(中公新書 2017年)


大阪市のあいりん地区(釡ヶ崎)の野宿者、生活保護受給者、社会的孤立をめぐる現状と背景の報告本です。ご一読をお薦めします。



■研究所員の好井裕明さんが次の著書を刊行されました。

 

好井裕明著「今、ここ」から考える社会学』(筑摩書房新書 2017年)


社会学の入門者に、社会学的思考の重要ポイントを簡明に説いた書です。

ご一読をお薦めします。