石岡 丈昇(いしおか・とものり)
所属
日本大学文理学部社会学科
専門分野
社会学、身体文化論
研究テーマ
身体をテーマにして、マニラの貧困世界についてフィールドワークを中心とした研究をおこなっています。主な事例としては二つがあります。一つは、マニラのボクシングジムの調査です。貧困層出身の若者が、どのようにボクシングという身体訓練の過程に参入するのかを、彼らの生活史的背景と絡めながら考察するものです。もう一つは、マニラのスクオッター地区における強制立ち退きの調査です。住み慣れた家屋を奪われることは、物財を失うことだけでなく、そこで培ってきた社会関係や歴史を剥奪されることでもあります。よって強制立ち退きもまた、住人の身体経験の観点から議論することが可能な主題です。このように私は、貧困と身体という二つのキーワードから、エスノグラフィー研究を展開することを試みています。調査スタイルとしては、話を聞くことも重要ですが、それと同じくらい、調査対象の人びとと同じご飯をいただいたり、お酒を回し飲みしたり、トタン屋根に打ち付けるマニラに固有の豪雨を感じながら眠るといった、そうした私自身の身体を根底に据えた手法を模索しています。
おもな業績
<単著>
・石岡丈昇,2012『ローカルボクサーと貧困世界──マニラのボクシングジムにみる身体文化』 世界思想社 (日本社会学会第12回若手奨励賞)
<訳書>
・ロイック・ヴァカン『ボディ&ソウル──ある社会学者のボクシング・エスノグラフィー』新曜社、2013年
<主要論文>
・石岡丈昇, 2019, 「コモンサードという手法:モノを介した質的研究と生活実践」『現代思想』2019年9月号.
・Tomonori Ishioka, 2018, Training under Uncertainty: Tempography of Underdog Filipino Pugilists, Edited by Robert Rinehart, Jacquie Kidd and Antonio Garcia Quiroga, Southern Hemisphere Ethnographies of space, place, and time, Peterlang.
・石岡丈昇, 2018,「うわさと「疑いの世界」:マニラにおけるインフォーマル居住者の強制撤去と展開過程」『新社会学研究』3号.