■研究所員の原口剛さんが次の著書を刊行されました。
原口剛著『叫びの都市──寄せ場、釡ヶ崎、流動的下層労働者』洛北出版 2016年
本書は、日本の都市下層の原点・釡ヶ崎の労働/空間/闘争の半世紀を論じた歴史地理学の書です。そこは、「流動的下層労働者」が来たり、身を寄せた空間であり、その歴史は、「寄せ場労働者」が通り過ぎた今日も、流動する都市下層の基層を象っています。重厚な記述と白黒写真の迫力が読者に迫ってきます。ご一読をお薦めします。
■ 研究所員の朴沙羅さん・前田拓也さん・打越正行さんが執筆した次の著書が刊行されました。
木下衆・朴沙羅・前田拓也・秋谷直矩編著,『最強の社会調査入門』ナカニシヤ出版 2016年.
本書は、質的調査をすすめてきた16名によって書かれた社会調査入門です。初学者が「面白くて、マネしたくなる」ような入門書を目指して執筆者は自身の経験やそこで見出した具体的な方法について書かれています。初学者はもちろん、専門家にも読み応えのある1冊となっています。ご一読をお薦めします。
■ 研究所員の濱西栄司さんが、次の著書を刊行されました。
濱西栄司著『トゥレーヌ社会学と新しい社会運動理論 』 新泉社 2016年
本書は、フランスの社会学者トォレーヌおよびその学派の社会運動理論をベースに、グローバル世界の(新しい)社会運動を捉える理論枠組みを提示し、具体的なグローバル運動への適用を通して、その検証と展開を図ったものです。読者はそこに、社会自体が社会運動と化している、激動する現代世界の、ともに変容する「理論と実践」をみることができます。
■ 研究所員の森千香子さんが、『排除と抵抗の郊外: フランス〈移民〉集住地域の形成と変容 』(東京大学出版会 2016年)で、フランス学術研究に与えられる渋沢・クローデル賞の特別賞(2016年度・第33回)を受賞されました。ますますのご研究の前進を祈念いたします。
■研究所員の北川由紀彦さんが、丹野清人さんとともに次の著書を刊行されました。
北川由紀彦・丹野清人著『移動と定住の社会学』 放送大学教育振興会 2016年
本書は、放送大学の教科書として著されたものですが、移動(および非定住)と定住に関わる諸問題(「労働市場」「エスニシティ」「出稼ぎ」等)を簡明に、しかし理論的に重要なポイントを押えて説き起こしたものです。日系人と日雇労働者(及びホームレス)を包摂する枠組み(移動と労働市場)のなかで捉え、個別の問題を押えつつ、基底をなす日本社会を問うという視点は重要なものだと思います。日本の移民研究にそのような視点は希薄だったと思います。
■研究所員の朴沙羅さんが、次の翻訳本を刊行されました。
アレッサンドロ・ポルテッリ著『オーラルヒストリーとは何か』 朴沙羅訳 水声社 2016年
歴史的事実に関する口述資料をもとに、その分析をめぐる方法的問題を説いた「オーラルヒストリー」の基本文献の一つです。口述による「事実」と「歴史」の「客観的」分析は、どのように可能か。その語りの「間違い」や「主観」をどのように処すべきか。本書は、これらの問いに迫り、オーラルヒストリーの特徴と意義を丁寧に説いています。
■ 研究所員の吉原直樹さんが、今野裕昭さん、松本行真さんと次の書を編集執筆され,、刊行されました。
『海外日本人社会とメディア・ネットワーク―バリ日本人社会を事例として 』東信堂 2016年
本書は、インドネシア・バリの日本人社会の調査を通じ、今日移民に生じている基底的変動を分析したものです。「強制移住」から「ライフスタイル移民」へ。本書は、多様なネットワークが導く日本人の現代的移民を分析し、合わせて、それが地域社会にとって意味するものを問いかけています。
■研究所所員の濱西栄司さんが、下記の本の第2章「サミット・プロテストの全体像とメカニズム」を執筆されました。
『サミット・プロテスト──グローバル化時代の社会運動』野宮大志郎・西城戸 誠編 新泉社 2016年
反グローバリズムの闘いから、現代世界の権力構造がどうみえ、社会運動の可能性がどう開かれるのか。社会運動論はそこへどう切り込むのか。胸躍る実践の社会学です。
金菱清ゼミナール『呼び覚まされる霊性の震災学──3・11 生と死のはざまで』新曜社 2016年
東日本大震災で生き残った人びとが、この世に蘇る死者たちとどう生きているのか。そのような死者と生者の霊世界を介して「災害」「被害」の意味を再考し、 そこから、死者を忘却し、生者を葬りかねない「復興」の論理を撃つ。環境社会学と宗教社会学を接合し、震災学の新世界を切り拓く野心作です。ご一読をお薦 めします。